日本列島と朝鮮半島の狭間には、対馬とリマンという二大海流が蕩々と流れている。しかし、その下には、表層とは異なった別の流れが存在することが知られている。これを「潜流」と言う。
日韓関係の背景には、靖国問題、教科書問題、領土問題、慰安婦問題などが横たわり、それゆえ、政治的文脈から語られることが多い。一方、Kポップや韓流、ドラマやアニメ、スポーツな等に見られる文化交流もさかんで、経済における両国の関係も相互に深く結びついている。つまり、二大海流のごとき左右両派の政治的対立の深層には、様々な要素の絡み合う、無秩序で混沌とした「潜流」が存在するのだ。したがって、どの流れの影響を受けるかによっても韓国の人々の思いは異なり、また、年齢や階層、社会的立場等によっても、日韓関係の捉え方は変わってくるだろう。
編者はインタビューした人々に対して、個人史からひもとき、その着地点たる現在の日韓関係や日本に対する思いを炙り出していく。聞き取りを行った人々は、左右両派の論客、中道派知識人、経済人、世界チャンピョン、脱北者、そして一般市民と、多岐にわたっている。老若男女、様々な立場の人々の声に耳を傾け、異なった切り口から掘り下げていくことによって、日韓関係の深層を読み解く。
朴晋雨
日本近現代史・天皇制研究
李景珉
朝鮮政治史 札幌大学名誉教授
朴裕河
『和解のために』、『帝国の慰安婦』 朱益鍾 『反日種族主義:日韓危機の根源』 姜禎求 元東国大学校教授 国家保安法で有罪
etc.